EC担当者の職務経歴書|「何でもやってきた」を伝わる実績に変える書き方
商品ページ、広告、分析まで担当したのに、職務経歴書では何を書けばいい? EC支援10年以上の実務経験と国産養殖ウナギの改善事例をもとに、担当範囲・判断・検証を伝える書き方と記入例を紹介します。
ECキャリアノート編集部 更新 2026-09-09
「商品ページも、広告も、売上の確認もやってきた。でも、職務経歴書に書こうとすると、作業の一覧になってしまう。」
ECの仕事を長く続けてきた方ほど、そんな悩みを持つことがあるのではないでしょうか。日々の仕事では当たり前にしている判断も、いざ説明しようとすると言葉にしにくいものです。
職務経歴書では、「何を担当したか」だけでなく、「どんな課題に対して、何を根拠に、どう動いたか」を伝えることが大切です。数字が出せなくても、判断の過程と担当範囲を具体的にすれば、経験の中身は伝わります。
私は10年以上、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社EC、企業ポータルサイトの構築・運営支援に携わってきました。食品系企業との仕事が多く、ヒアリング、課題分析、改善提案を中心としたディレクションを担当してきました。
この記事では、実務例をもとに、幅広いEC経験を職務経歴書へ落とし込む方法を紹介します。
まずは「担当業務」を5つに分ける
最初から文章を完成させようとせず、覚えている案件を一つ選び、次の項目を書き出します。
- 販売先・商品:楽天市場、自社EC、食品など
- 課題:顧客や社内から何を相談されていたか
- 判断材料:どんなデータや情報を確認したか
- 担当範囲:自分が決めたこと、実行したこと、チームへ依頼したこと
- 施策と検証:何を変え、何を見て振り返ったか
「商品ページ改善」「広告運用」「売上分析」だけでは、仕事の中で何を考えていたのかまでは伝わりません。
たとえば、「商品ページの改善を担当」を、「流入キーワードと競合の訴求内容を確認し、価格以外の強みを伝えるページ構成を設計。制作チームと連携して改善を実施した」と書くと、分析、方針づくり、チームとの連携まで説明できます。
特に大切なのは、自分とチームの役割を分けることです。自分が構成や方針を決め、デザインや実装は制作チームが担当したなら、その分担を正直に書きます。そのこと自体が、ディレクションの経験です。
実務例:価格が安くない国産ウナギを、どう選んでもらうか
国産の養殖ウナギを扱う案件では、「価格が安くない中で、他社とどう差別化するか」が課題でした。楽天市場、自社EC、Google広告で取り組みを行いました。
最初に確認したのは、流入キーワード、転換率、競合が打ち出している強みです。どんな言葉でお客様が訪れ、商品をどう比較しているのかを考える材料にしました。
分析の結果、優先して伝える特徴を「国産であること」と「無投薬で育てていること」に定めました。私は分析、改善提案、ページ構成、広告キーワードの設計を担当。制作チームには、その特徴が一目で伝わるよう、ページ内の見せ方やデザインに落とし込んでもらいました。広告では、利用媒体の年齢・年収に関する属性設定も活用しました。
変更した場所ごとに、見る数字を分ける
施策を出して終わりにせず、変更する場所に合わせて確認する数字を分けました。
- サムネイル:クリック率の変化
- ページ冒頭のファーストビュー(FV):離脱率の変化
- 訴求内容を説明する順序:転換率の変化
週単位でABテストと振り返りを重ね、反応を見ながら細かな修正を続けました。
3か月で確認できた数値
対象商品の3か月間の検証では、クリック率は約3%向上しました。特に大きく変化したのは転換率で、当初1.5%だった数値が6.7%まで改善しました。売上は約20万円だった商品が、約500万円まで伸びました。
数値の変化を一つの施策だけの成果とは考えず、商品ページの改修、訴求ポイントの順序の見直し、広告設定の調整を重ねた結果として確認しました。
この案件で実感したのは、食品として「おいしそう」と感じてもらう写真表現の大切さです。いわゆるシズル感に加え、サムネイルやFVを見たときに、商品の強みが一目で分かることも重視しました。
ページ全体では、一番伝えたい内容を、読み手が理解しやすい順番で説明できているかを確認していました。写真や訴求の順序に一つの正解があるとは考えず、お客様の反応を見ながら見直していました。
職務経歴書への記載例
以下は、今回の実務経験を職務経歴書の形式に整理した例です。ご自身の書類に使う際は、実際の担当業務と確認できる事実に置き換えてください。
職務要約の例
10年以上にわたり、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社ECおよび企業ポータルサイトの構築・運営支援に従事。食品系企業との取引経験が多く、課題のヒアリング、データ分析、改善提案を中心としたディレクションを担当。社内の制作チームと連携し、提案から施策実施、効果検証まで一貫して支援してきた。
改善施策の例
国産養殖ウナギのEC販売支援において、価格以外の価値による差別化を担当。流入キーワード、転換率、競合の訴求内容を分析し、「国産・無投薬での養殖」を軸とした訴求方針を策定した。
ページ構成と広告キーワードを設計し、制作チームと連携してページを改善。サムネイルのクリック率、FVの離脱率、訴求順序による転換率の変化を確認し、週単位でABテストと修正を繰り返した。対象商品の3か月間の検証では、クリック率は約3%向上し、転換率は1.5%から6.7%へ改善。売上は約20万円から約500万円まで伸びた。
商品登録・受注対応が中心の方は、どう書くか
改善提案や広告運用をしていないからといって、職務経歴書に書ける経験がないわけではありません。商品登録、在庫確認、受注対応でも、「正確さを守るために何をしていたか」「どの関係者とどう連携していたか」を整理できます。
以下は、商品登録・受注対応を職務経歴書に整理する場合の記載例です。ご自身の担当業務と確認できる事実に置き換えてください。
記載例
楽天市場の店舗運営において、商品登録、在庫情報の更新、受注処理、お問い合わせ対応を担当。商品情報の変更時は、メーカーからの情報と登録内容を照合し、表示内容の誤りを防止した。
欠品や納期に関する問い合わせは、在庫担当・出荷担当と連携して状況を確認し、案内内容を更新。繁忙期には優先順位を整理し、期限内の処理と顧客への連絡を行った。
このように、担当業務に加えて、確認方法、連携先、意識していたことを書くと、日常業務の中にある経験が伝わりやすくなります。
数字を出せないときも、事実を具体的にする
売上の増加率や転換率の改善幅を出せない場合は、課題、自分の担当範囲、施策、確認した指標を具体的に書きます。成果が未確認の取り組みを「大幅改善」と表現する必要はありません。
一方、記録があり掲載できる数値は、期間や比較条件とあわせて整理しましょう。チーム全体の成果であれば、その中で自分が担った役割も添えます。
「何をしたか」「何が確認できたか」「そこから何を学んだか」を分けておくと、面接でも説明の筋道を立てやすくなります。
採算まで見ていたなら、その判断も経験になる
食品系企業を支援する中では、「新規顧客が集まらない」という相談も多くありました。
その際は、売上だけでなく、商品利益率、購入頻度、リピート率、継続期間を確認。実績データをもとに仮定を置き、継続的な購入を見込んだLTVを試算していました。
そのうえで、利益率とリピート率の高い商品を優先候補として選び、集客を集中させます。最初から幅広く展開するのではなく、成果を確認できた取り組みをほかの商品にも広げていく進め方です。
効果検証では、商品にかかる費用や広告費、販促費などを差し引いた利益を確認し、取り組みを拡大するか、コストを見直すか、別商品を検討するかを判断していました。通常は毎月の実績を確認し、3か月単位で方向性を判断していました。
AI活用は、使った業務と判断をセットで書く
AIの活用を職務経歴書へ加える際は、ツール名だけで終わらせず、どの業務で何のために使い、出力をどう確認したかを整理します。
「[業務]で[ツール]を使用し、[作業]を補助。出力は[確認方法]で検証し、最終判断は自分が担当」という形にすると、役割を具体的に伝えやすくなります。実務での利用と、学習・試用中の取り組みは分けて書きましょう。
一つの案件から始める
職務経歴書を一気に完成させようとせず、覚えている案件を一つ選び、次のメモを埋めてみてください。
- 担当した販売先・商品
- 相談された課題
- 確認したデータや情報
- 自分が判断・実行したこと
- ほかのメンバーが担当したこと
- 実施した施策
- 確認した結果と期間
- 結果を受けて見直したこと
「何でもやってきた」と感じていた仕事の中にも、商品を理解した経験、数字から方針を考えた経験、チームを動かした経験があります。まずは一つ、ご自身が考えて動いた場面を言葉にするところから始めてみてください。