EC担当者に必要なスキル|転職で示せる経験の棚卸し表
EC担当者に必要なのは、ツール名の知識だけではありません。10年以上のEC支援経験をもとに、KGI・KPI設計、チーム連携、PDCA、課題発見、AI活用を転職で伝わる経験へ整理します。
ECキャリアノート編集部 更新 2026-09-12
「EC担当に必要なスキルは何ですか」と聞かれると、広告運用や商品登録、分析ツールの名前を思い浮かべるかもしれません。もちろん実務ツールは大切です。ただ、成果を出し続けるために必要なのは、ツールを使う前後の判断です。
私は10年以上、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社ECなどの支援に携わってきました。その中で感じるのは、EC担当の強みは一つの作業を速くこなすことよりも、目標を分解し、周囲と協力しながら改善を続ける力に表れるということです。
この記事では、実務経験をもとに、EC担当として転職で示せるスキルを整理します。
まずはKGIとKPIを決める
EC運営では、最終目標を売上に置くことが多くあります。ただし、売上だけを毎日見ても、何を変えればよいかは分かりません。
そこで、売上をアクセス数、転換率、客単価、リピート率に分解し、それぞれの目標値を決めます。これがKPIです。
たとえば、アクセスは十分でも転換率が低いなら、広告を増やす前に商品ページや訴求内容を見直す必要があります。リピート率が低いなら、購入後の体験や再購入を促す情報を考えます。数字を分解することで、課題に合った施策を選べるようになります。
毎週確認し、1か月で判断するPDCA
私の場合、KPIは1か月単位で設定しつつ、最低でも週1回は数字を確認していました。週単位で現状を把握し、施策を継続するか、見直すかを判断します。
大切なのは、数字が動かなかったときに、すぐに「失敗」と決めつけないことです。アクセス、転換率、客単価、リピート率のどこに変化があったかを見て、仮説を修正します。1か月で立てたKPIを達成するために、次の一手を考え続けることがPDCAです。
一人で完結させず、周囲を巻き込む
EC担当が持つべきスキルの一つは、周囲を巻き込む力です。クライアントだけでなく、デザイナー、ライター、データ担当、アシスタントなど、それぞれの知見が施策の質を高めます。
私は、分析や商品選定、ページ構成、施策の方向性を整理し、専門性が必要な部分は担当メンバーへ依頼してきました。誰が何を担うかを明確にし、最終的な効果確認と次の判断は自分で行います。
自分だけで解決しようとすると、時間が足りなくなり、考え方も偏りやすくなります。相談できる人を増やし、意見を取り入れながら判断することも、実務では重要な能力です。
リピート率から課題を見つけた例
LTVに深く関わるリピート率が低い場合は、優先して改善したい指標です。私が担当した施策では、すべてのお客様に個別対応するのではなく、購入後の流れに合わせたステップメールやLINEのテンプレートを設計しました。
最初は、商品が届くことを楽しみにしている時期に、使い方や食べ方、お客様の喜びの声を届けます。その後、商品をより深く知ってもらうための記事コンテンツを配信し、再購入を検討する時期にはクーポンや注意情報を届けます。
ディレクターとして配信設定と全体設計を担当し、デザインは専門メンバーへ依頼しました。配信作業は自分またはアシスタントが行い、効果の確認と次の施策の判断は自分で担当しました。
この経験から、課題発見とは数字の低下を指摘することではなく、お客様が次に迷うことや期待することを考え、具体的な体験へつなげることだと感じています。
AIは分析と仮説づくりを助ける道具
今は、数字の大枠を把握したり、分析の観点を洗い出したりする際にAIを活用できます。自分だけでは見落としやすい視点を得るための壁打ち相手としても役立ちます。
ただし、AIの出力をそのまま正解にするのではなく、実績データとこれまでの経験に照らして判断することが必要です。自分の成功体験や商品・顧客への理解を前提に、AIと対話しながら最適な一手を探す。その使い方が、これからのEC担当に求められるスキルの一つだと考えています。
転職で示せるスキルの棚卸し表
職務経歴書では、ツール名だけを並べるより、次の項目を一つの案件ごとに整理すると、経験が伝わりやすくなります。
- 最終目標:何をKGIに置いたか
- 分解した数字:どのKPIを追ったか
- 発見した課題:どの数字や事実から気づいたか
- 自分の担当:設計、分析、設定、依頼、判断のどこを担ったか
- 連携先:クライアントやチームと、どのように進めたか
- 検証期間:週次・月次など、いつ確認したか
- 次の施策:結果を受けて何を継続・変更したか
たとえば「LINEを配信した」ではなく、「リピート率をKPIに設定し、購入後のタイミングに合わせた配信設計と効果確認を担当。デザイン担当と連携し、結果をもとに次施策を判断した」と書くと、考えたことと役割が伝わります。
今日から始めるなら
最初からすべての分析や施策を担う必要はありません。まずは、自分が関わった業務について「何を目標にしたか」「どの数字を見たか」「誰と進めたか」を書き出してみてください。
約束と納期を守り、目標を分解し、周囲と協力して改善を続けた経験は、担当業務の種類にかかわらずEC担当としての強みになります。
経験を転職で伝えるために
スキルを整理できたら、次は応募書類で伝わる形へ整えましょう。成果、担当範囲、数字の変化を職務経歴書に落とし込む方法は、EC担当者の職務経歴書|「何でもやってきた」を伝わる実績に変える書き方で解説しています。
転職先や支援先を比較したい方は、EC担当者の転職エージェント選び|業務経験別に比較するも参考にしてください。